五十肩は、肩の可動域が制限され、痛みが伴うことで日常生活に大きな支障をきたす症状です。特に40代から60代の方に多く見られるこの症状は、肩関節周囲炎とも呼ばれ、肩周りの筋肉や関節の硬直が原因とされています。突然腕が上がらなくなり、痛みが強まるため、どう対処すればいいのか分からない方も多いかもしれません。今回は、自宅で簡単に行える五十肩の改善に役立つストレッチ方法を解説します。
五十肩は、発症から時間が経つにつれ「急性期」「拘縮期」「回復期」という3つの段階に分けられます。急性期では、肩がじっとしていても痛く、夜間も痛みで眠れないことが多いです。この時期には無理に動かすのではなく、肩を冷やして痛みを軽減することが重要です。アイスパックなどをタオルに包み、肩に当てて冷やすことで痛みが和らぎます。ただし、この段階で無理なストレッチは避け、安静を保つことが基本です。
拘縮期に入ると、急性期の強い痛みは落ち着きますが、肩関節が硬くなり、動かすと痛みが生じるようになります。この時期こそ、適切なストレッチを始めるタイミングです。無理のない範囲で、肩やその周辺の筋肉を柔らかく保つことが大切です。例えば、胸郭のストレッチは、肩甲骨の動きを良くするために効果的です。仰向けに寝て、両手をバンザイするように頭上に伸ばし、その後両手を広げて胸を開きます。この姿勢を30秒キープし、3セット行うことで肩甲骨周辺の筋肉が緩みます。
さらに、首の筋肉をほぐすストレッチも有効です。肩甲骨とつながっている筋肉を緩めることで、肩への負担が軽減され、可動域が広がります。椅子に座り、片方の肩を軽く押さえながら、反対側に首を倒して筋肉をじっくり伸ばします。左右それぞれ30秒ずつを3セット行うことで、首と肩の緊張が和らぎ、五十肩による痛みも軽減されるでしょう。
股関節のストレッチも忘れてはいけません。股関節と肩関節は体の動きに連動しており、股関節の硬さが肩の可動域に影響を与えることがあります。仰向けに寝て、片方の足を反対側の膝の上に乗せ、膝をゆっくりと横に倒します。これは、股関節を柔らかく保つだけでなく、腰周りの筋肉も緩めるため、腰痛の予防にも役立ちます。
回復期に入ると、痛みが軽減し、動かせる範囲が広がりますが、この時期にもストレッチを続けることが重要です。回復期、肩甲骨や胸筋だけでなく、肩関節そのものを積極的に動かすことがポイントです。タオルを使ったストレッチがおすすめです。タオルの両端を持って、頭の上に持ち上げ、その状態で左右にゆっくりと体を倒します。これにより、肩周りの筋肉全体が伸び、柔軟性が向上します。
五十肩は発症から完全に回復するまでに時間がかかりますが、ストレッチを継続的に行うことで症状の改善を早めることが可能です。特に、自宅で行える簡単なストレッチを習慣にすることで、肩の可動域を広げ、痛みを緩和し、生活の質を向上させることができます。無理のない範囲で、自分のペースで取り入れていくことが大切です。